心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションを10年以上している心リハ太郎が日々考えたり思ったりしているエビデンスのあることないことをつらつらと書いています。

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病態・生理

腸に脳があるという話

急性心筋梗塞の急性期の離床や運動、負荷試験気をつけるポイント

@maehiro210さんが紹介してくれた急性心筋梗塞の急性期リスク管理についてのわたしの過去スレッドが意外とまとまっているのでこちらに貼っておきます。心リハ始めたばかりの方は不安との闘いだと思います。どういうときに何が起こりうるか、なにがその兆候に…

2分間歩行や3分間歩行は6分間歩行試験の代わりになるか?

こんにちは、心リハ太郎です。質問箱に頂いた質問に長文でお答えしたのでこちらにも。6分間歩行試験の代わりに2-3分の歩行で代用できるか?というご質問です。この話を考えるには6分間歩行試験を行う目的をはっきりさせることが重要です。 6分間歩行試験の目…

Borgスケールを解説:自覚的疲労度の特徴と使用時の注意点は?

こんにちは、心リハ太郎です。 運動中に自分で感じる疲労感や運動強度のことを自覚的疲労度あるいは自覚的運動強度といい、それを数値化したものを( RPE; アールピーイー ratings of perceived exertion)といいます。 有酸素運動のトレーニング効果を出す…

心疾患では嫌気性代謝閾値(AT)を超えた運動をしてはいけないのか?無酸素運動と有酸素運動の特徴を知ろう

こんにちは、心リハ太郎です。心臓リハビリテーションに関わっていると、必ず直面するのが「AT(嫌気性代謝閾値)を超えた運動や活動をしていいのかどうか」という問題です。患者さんから聞かれる質問で多いのは 水泳をしてもいいか ジョギングしてもいいか …

心不全ってどんな病気? 心不全のリハビリテーションシリーズ その1

こんにちは、心リハ太郎です。 日本では高齢化に伴い、これから2025年にかけて心不全患者さんの数は爆発的に増えると言われています。2018年の今でも循環器の病棟が心不全の患者さんで溢れかえっている病院も少なくないでしょう。スポンサーリンク 心不全は…

ガンとはどんな病気なのかを簡単に理解できる動画

こんにちは、心リハ太郎です。心臓リハビリテーションを行なっていると、かなりの割合でガンの既往のある患者さんや、新たにガンを発症する患者さんに出会います。なぜ、ガンの治療が難しいのかをわかりやすく説明した動画がGIGAZINEで紹介されていました。…

ドベネックの桶(おけ)の考え方を使うと人間の能力というものを把握しやすい

こんにちは、心リハ太郎です。みなさんはドベネックの桶(おけ)という考え方をご存知でしょうか?もともとは、植物を育てる時の考え方なのですが、心臓リハビリテーションでも非常に使える考え方ですので、ご紹介したいと思います。

心臓リハビリテーションにおける軽度認知障害(MCI)と認知症をどう判定してどう扱うか

こんにちは、心リハ太郎です。患者さんの高齢化が進み、リハ室を見渡してみると患者さんの多くは80代の方で、そこに90代の方もちらほら混じってたりします。もしかすると心リハ患者さんの平均年齢がそろそろ80歳超えてくるんじゃないかな?とたまに思ってし…

β遮断薬(βブロッカー)の身体活動における臨床的意義

こんにちは、心リハ太郎です。β遮断薬(βブロッカー)は心疾患では大変意義深い薬剤です。 それはβ遮断薬が心筋梗塞などの虚血性心疾患やEFが低下する心不全(HFrEF)の生命予後を劇的に改善することが分かっているからです。β遮断薬が心疾患患者さんの予後…

脈拍は心臓や身体の状態を知るための重要なツール

こんにちは、心リハ太郎です。 患者さんの血圧を測ると血圧計の脈拍数がモニター心電図の心拍数より少ない時があります。 こういう時に患者さんの身体で何が起こっているのかを考えた事はありますか?また脈が弱い時や脈が飛んでいるときには何が起こってい…

心臓の働きを決める4つの因子

こんにちは、心リハ太郎です。患者さんの心臓がどのくらい良いのか、あるいは悪いのか、つまり心機能を理解できれば、入院中の離床・運動療法の可否や進行判断ができるようになります。さらに退院後の心不全管理をどのくらい厳格に行うべきかを判断する助け…

離床と運動療法はどう違うのか、そして離床のリスク評価はどうやってするか

皆さんは離床と運動療法の違いって意識したことありますか?理学療法士などのリハビリ職種による歩行やADL練習などは全て運動療法と言えるのでしょうか?それとも離床と運動療法には何か違いがあるのでしょうか?離床と運動療法を区別することができるように…

血圧低下についての考え方の基礎を知ろう

血圧が何を表すか考えたことはありますか? 特に、血圧が低いとはどういうことかを自分で考えられるようになるための基礎的な考え方を覚えましょう。 血圧の式を覚えよう まず覚えて欲しいのはこの公式です。 血圧= 一回拍出量 × 心拍数 × 末梢血管抵抗 BP=S…

心エコーに詳しくなるオススメ書籍12選

こんにちは、心リハ太郎です。心臓超音波検査(心エコー)は心臓リハビリテーションだけでなく、循環器疾患に関わる全ての職種が理解できなければならない時代に入ってきました。 なぜ心エコーを理解する必要があるのか? なぜなら心エコーを理解できるとい…

心電図に詳しくなるオススメ書籍5選

こんにちは、心リハ太郎です。心電図、苦手な人は多いと思います。 基本を抑えれば、なんとなく読み方は理解できるようになるんですが、その基本を抑えるのがどうしたらよいかわからんのですよね。実際私も心電図は苦手でした。 日々の業務で心電図を読まな…

息切れの指標 VE vs VCO2 slopeのわかりやすい(かもしれない)解説 後編

こんなに長くするつもりがなかったこのVE vs VCO2 slope編もようやく終わりが見えてきました。ここまでお付き合いいただきありがとうございます。VE vs VCO2 slope(VE/VCO2 slope)の異常に関係する因子についての最後の項目です。あと少しだけお付き合い下…

息切れの指標 VE vs VCO2 slopeのわかりやすい(かもしれない)解説 中編

思ってたよりも長くなってしまったVE vs VCO2 slope編の中編です。 前編を読んでいない方はコチラからどうぞ。 今回はいよいよVE vs VCO2 slope(VE/VCO2 slope)の上昇に関わる因子について考えてみます。 ここが分かると様々な場面でVE vs VCO2 slopeの値…

息切れの指標 VE vs VCO2 slopeのわかりやすい(かもしれない)解説 前編

2019.11.29更新 こんにちは、心リハ太郎です。心肺運動負荷試験(CPX)の指標の一つに換気亢進の度合いを表わすVE vs VCO2 slope(VE/VCO2 slope)があります。 VE vs VO2 slopeは心不全の指標として用いられるのが一般的ですが、心疾患においてはほぼ間違い…

左室駆出率(LVEF)のわかりやすい(かもしれない)解説

2018年11月6日更新 こんにちは、心リハ太郎です。 左室駆出率(LVEF)は心臓の収縮能力を示す重要な指標の1つで、左室駆出分画とも呼ばれます。 LVは左心室(left ventricle)という意味です。 一般的にはLVを略してEFと呼ばれることも多いですね。 心臓病…

心不全における皮膚の乾燥は予後を悪化させるかもしれない

心リハ太郎です。 近年皮膚のバリア機能が注目されています。 特に、皮膚のバリア機能の維持には乾燥の予防と炎症の予防が重要であることが皮膚科領域では常識になりつつあります。 さて、心不全患者さんにおいて、皮膚の乾燥は非常によく見られる臨床所見で…

左室拡張能(e', E/e')のわかりやすい(かもしれない)解説

2020/5/3 改訂 ひと昔前は左室拡張能の指標はこれだ!というものがない時期が続いていましたが、今はE/e'という素晴らしい指標ができました。 しかし、この指標が出てきたころ、私は「なるほど、わからん」と頭の中が???状態でした。 ですので、この記事では…

心負荷の高い活動を判別し過活動を避けるための考え方

こんにちは、心リハ太郎です。 心負荷の高い活動がどんな活動かということを今まで考えたことはありますか? 山登りや階段、重いものを運ぶなどいかにもキツそうな活動でしょうか? あるいはこのようなMETs表を見ながら高いMETsに該当するかどうかを確認しま…

心疾患の貧血はなぜ悪いのか

患者さんが最近元気ないなーと思ったら貧血が進んでいたってことありませんか? 貧血はよくないとみんな思っていても、なぜ悪いのか、何にどのくらいの影響が出るのかを理解している方は意外と少ないです。 貧血は血中酸素含量に影響する 人間の身体では酸素…

体力(運動耐容能)と酸素摂取量(VO2)とCPXの解説

2018年11月12日更新 こんにちは、心リハ太郎です。 体力とはなんでしょうか? 力が強いこと? 疲れにくいこと? 「体力」といったときに筋肉を想像する人は一般の方だけでなく、医療者にも多くいます。 もし筋肉=体力だとすれば、筋肉がたくさんあるボディ…

心拍数が上がっているときは

なんかいつもより患者さんの心拍数が高いなーって時がありますよね。 これをどう思いますか?