心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションを10年以上している心リハ太郎が日々考えたり思ったりしているエビデンスのあることないことをつらつらと書いています。

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心臓リハビリテーション指導士試験の勉強の仕方

こんにちは、心リハ太郎です。


心臓リハビリテーション指導士(心リハ指導士)の試験に向けた勉強法について、度々ご質問を頂きます。

そこで今回は、心リハ指導士試験の勉強法についてお伝えしようと思います。

心リハ指導士必携と学会誌の過去問が基本


個人的には心臓リハビリテーション指導士必携を何度も何度も何度も読んで覚え、学会誌に載っている過去問と解説を読みつつ、また心リハ指導士必携を読むというのが良いのではないかと思います。

心臓リハビリテーション学会(心リハ学会)に加入しているのであれば、学会のホームページから過去の学会誌を読むことができます(心リハ指導士必携もこちらから購入可能です)。

学会誌・心臓リハビリテーション(JJCR) | JACR日本心臓リハビリテーション学会

ちなみに昔は(といっても10年くらい前)、このようなオンラインサービスはありませんでしたので、知り合いの持っている学会誌を掻き集め、ひたすら過去問をコピーさせてもらったことを思い出します(遠い目)。
それでも20問分くらいしかありませんでした。

しかも今ある心臓リハビリテーション指導士必携のような公式テキストもなく、学会のよく分からない解説サイト(全然そこから問題が出ない)だけが頼りという鬼仕様。

今はオンラインで過去問が全て見られ、また公式テキストもあるわけですから羨ましい限りです。

試験問題は必携と直前講習会でほぼ網羅される(はず)

ただし、学会誌でも過去問はそれほど多く掲載されているわけではないため受験に際しては結構不安ではないかと思います。

ハッキリ言えることは、試験問題のほとんどは

  1. 心リハ指導士必携
  2. 直前の講習会

の内容さえしっかり抑えれば解けるように作られているはずだということです。

全ては網羅されないとしても全問正解しなくても合格はできるわけですから8割程度の正解を目指せばよいわけです。

公式テキストと公式講習会の内容にない問題ばかり出るようであれば、試験としてはかなり質が悪いものになりますから、学会としてもそんなことはしないはずです。

また、必携を読み込むことは講習会を効果的な学習の場にする意味でも重要です。

  1. 心リハ指導士必携をひたすら覚える
  2. すると事前講習会の内容が分かるようになり、事前復習をさせてもらえる
  3. 講習会で必携に載っていない情報で講師が念を押しているところは試験に出る可能性が高いこともわかるようになる

ということになるからです。

ですから、まずすべきは心リハ指導士必携を繰り返し読みまくる、ということになります。

勉強法のコツ

心リハ太郎的には勉強法のコツは3つだけ。

  1. とにかく過去問を一度解いてみる
  2. 試験までに心リハ指導士必携を3度通読する
  3. 通読する度に過去問を解き直す

これだけです。

問題は必携の通読を3回以上するためどうしても時間が必要になることですが、心リハのように包括的な知識を必要とする領域では、そもそも学習には時間がかかります。

心リハ指導士をどうしても取得したいならば、勉強に時間がかかることについては覚悟して下さい。

あとはとにかく直前講習会の内容をできる限り理解し、試験に臨むのです。

ではそれぞれの内容を詳しくみていきましょう。

学会誌から過去問をダウンロードして解く

学会誌の過去問は出来るだけ早くダウンロードし、まず問題を解いてみることをオススメします。

なぜなら、過去問を解いてみて、「今の自分では過去問が解けない」ということを実感することが、合格するためのファーストステップだからです。


できないとやる気がなくなる?

それは違います。

できないことを自覚しないからいつまで経ってもできないのです。

はじめて過去問を解く時は、解けなくても当たり前、むしろ解けないことを自分に分からせるためだと考えましょう。

そうすれば過去問が全然解けなくても精神的ダメージは、かなり少なくなるはずです。

だってこれからできるようになるだけですからね。

ちなみに選択問題のため、適当に選んでも当たることはありますが、それはできたうちに入らないので、ここは自分に厳しくいきましょうね。

大事な事なので何度も言いますが、過去問の1回目は解けなくてもいいんですよ!

できない人は言葉を知らないだけ

さて、過去問の全てを余裕でできた人はほとんどいないのではないかと思います。

はじめは、解説すらよくわからない分野すらあるかもしれません。

この場合は、心リハ指導士として必要とされる用語を知らなかったり、理解できていないということになります。

見たことある言葉をとにかく増やす

ですから、いかに早く沢山の言葉を「あ、この単語見たことある」という状態にするかがキーになります。

知っている言葉が出てくると、頭は理解をしようとします。
しかし知らない言葉ばかりだと頭は理解することを拒否しはじめます。

だからこそ、言葉を目に入れたことがあるかどうかが勉強を進める上での重要なポイントになるわけです。

つまり心リハ指導士必携をひたすら読み続け、見たことある単語を増やすのが通読1周目の目標です。

いいですか?

まずは重要な単語、試験に出るはずの単語を「見たことある状態」にしていきますよ。

では、そのための方法、心リハ指導士必携の使い方をここから説明しましょう。

心リハ指導士必携の使い方

とにかく心リハ指導士必携を手にいれることが先決です。
学会誌で過去問を探しつつ、上で紹介した学会のリンクから注文しておいて下さい。

もう一つ大事なのはチェックペンです。
蛍光マーカーとかでもいいですが、できれば受験用の下敷きをかぶせると黒くなるやつがいいです。

こんなのですね。

必携のテキストが届いたら次のようにします。
ここから1周目です。

必携1周目の使い方

  1. まず心リハ指導士必携の目次を開いてページ数を確認する
  2. 今日から直前講習会までの日数をカウントして1/3する(120日なら40日、100日なら33日という感じで)
  3. 講習会までの日数の1/3にあたる日付をチェックして何月何日までに1度読み切るかを決定する
  4. ページ数÷1/3の日数=1日に読まなければいけないページ数を確定する
  5. 目次の部分に何月何日にどこを読むかを全て書き込んでいく
  6. 目次に書いた日付にそってひたすら読みつつ、専門的な単語、試験に出そうな単語や数字などにマーカーを引いていく


ページ数は改定で変わるかもしれないので、各自買ったもので確かめて下さい。

試験日じゃなく講習会の日までで日数をカウントするのは、講習会までにはテキストを頭に叩き込み、講習会を有効活用するためです。

必携に載っている用語さえ覚えて理解していれば、講習会はとてもよい復習の機会になるし、講習会の内容がスラスラと頭に入るはずです。

逆に、講習会の日、つまり試験直前にも必携で勉強しなければならないような状態なら多分アウトでしょう。

講習会1日目の夜には講習会の内容の復習をして知識を定着させましょう。

必携テキストの通読は3周を目標にするため、日付は目次横に3回分書き込むことになります。

ですから、3回分書けるようにスペースを空けて日付を書き込んでおくとよいでしょう。

マーカーの引き方

マーカーを引く時に注意してほしいのは
絶対に単語だけにする
ということです。

マーカーを引く目的は「単語を目立たせること」と「あとで問題集として使えるようにすること」です。

たまに、何行も続けてマーカーを引く人がいますが、これだと何を覚えるのかわからなくなりますし、必携をチェックペンを使った穴埋め問題集に変えることができなくなります。

専門的な単語のみマーカーを引いていくようにしていきましょう。

自分だったらどこを問題として出すかな?と出題者の気持ちになって考えながらマーカーを引くと効果的に学習できると思います。

音読も組み合わせる

黙読だけで単語を覚えられる人は少ないので、自信がない人は単語を音読して、口と耳も使って覚えていくのはフィードバックの点からも効果的です。

横に書き殴り用の紙を用意して、手を使って字を書くとさらに良いでしょう。

綺麗なまとめノートみたいなものではなく、単に目と口と耳と手を使って記憶に残すためだけの、捨ててしまってもよいもので構いません。

基本は時間との戦いなので、時間のかかるまとめノートなどは作らず、必携をテキストかつ問題集に変えていきます。

前日やった内容はできれば次の日にも目を通す

人間の記憶は一晩以上経ってからもう一度目にすることでより確かなものにすることができます。
余裕があればその日の学習前に、前日の内容をさっと見直しておくと、記憶が残りやすいでしょう。

もし関連する過去問があるならここで解いておくと、より記憶は定着しやすいと思われます。

忘れていても、こうやって繰り返すことで確実に記憶に残りやすくなります。

過去問2回目

1周目が通読できたら、過去問の2回目です。

ここでもまだ全てがスラスラと解けるようにはなっていないはずですが、それでいいのです。

得意なところと苦手なところが分かれば、苦手な部分を重点的に学習していけばいいからです。

自分の理解が浅くて苦手なところをあぶり出すのが過去問2回目の目的です。

1回目と違って、問題文や解答の選択肢に見たことある単語が並んでいるようになっていれば、1回目の通読学習は成功しています。

必携2周目

過去問を解きながら、できなかったところ、偶然に正解しただけのところを中心に再読していきます。

が、過去問だけでは試験範囲は全く網羅できないと思いますので、やはり基本的には通読し返すことになります。

この時、チェックペンに付属のシートを使ってマーカーを引いた部分を穴埋め問題として使っていくとよいですね。

穴埋めでできない単語の左上に小さく×を書き、また読んだ時できたらその横に○を、できなければ×を書いていきます。

×がたくさん並んでいるところが、あなたの弱点ですから、直前にその単語や内容を中心に見直すと、効率的に復習ができます。

こうやってテキストを自分専用のものにしていくわけです。

必携と過去問を繰り返す

あとは余裕がある限り、これを繰り返します。

3周以上するのは全く問題ありませんから余裕があるなら何周もしてみて下さい。

色々なテキストに手を出しまくるより、一冊を完璧にするほうが学習効果は高くなります。

勉強した内容を臨床で使ってみるのもよい復習です。

3周目以降ともなれば、6-7割以上は覚えて来ているはずだと思います。

あとは直前講習会で知識を頭に叩き込み、試験に臨みましょう。

講習会について

講習会は基本的に直前講習会が免除になる事前に行われるものではなく、日程さえ許せば直前講習会を受けることをおすすめします。

何故なら恐らく直前講習会からも多くの試験問題が出ますし、講師によっては講義中に出そうなところのヒントを教えてもらえることがあるからです。

また直前に聴いたことは忘れにくいという理由もあります。

ですから、直前講習会で寝ているとかは言語道断。

何が何でも2日間集中して講義を聴き続けることが最重要となります。

そのためには、講義で出てくる言葉を知っている必要があります。知らない言葉が出てくると人間の脳は理解を拒否しはじめるからです。

大半が必携テキストに載っている言葉のはずですから、やはり必携テキストをしっかり網羅しておくのが大事なのです。

あとは学会に行くと同じ病院や施設の人たちとの飲み会などもあるかとは思いますが、基本的には早々に切り上げるか参加を見送るかして、講習会に向けてしっかり体調を整えておいてくださいね。

CPXについて

みなさん(特に理学療法士以外の職種)が苦労するのは心肺運動負荷試験(CPX)のところではないかと思います。

ここを詳しく勉強したい場合は、『CPX・運動療法ハンドブック』が詳しいです。

一番よいのはCPXをしているところを見学したり、自分でCPXをしてみたりして、実際に解釈をするトレーニングを行うことですが、それが難しいのであれば、心リハ学会などが主催する運動負荷試験講習会などに参加するのがよいでしょう。

いずれにしてもまずは必携テキストのCPXの内容をしっかり抑えてからでも遅くはありません。

本をおすすめするなら

基本的には上でお話ししたように心リハ指導士必携テキストで勉強するのがよいと思います。

追加で持っておくなら、という質問をよく受けますので、これは役に立つかなというものをいくつかご紹介しておきます。

心臓リハビリテーションポケットマニュアル

サイズが小さくて臨床でサッと取り出せ、内容も豊富な使いやすい一冊としては『心臓リハビリテーションポケットマニュアル』がよいのではないかと思います。

結構内容は濃く、様々な分野の知識が網羅されています。

ちなみに私も一冊持っています。

心臓リハビリテーション

腎臓リハビリテーションでも有名な上月先生が編集された一冊。

かなりお高めの値段ですが、多分野にまたがり、詳しくまとめられているので、今のところ辞書的に使うならばこれかなと思います。

これも私が手元に一冊持っている本です。

まとめ

とにかく学習予定を立てて、3回通読しつつ過去問を解く!

早く始めれば始めるほど有利です。

ぜひ頑張って心臓リハビリテーション指導士を取得して下さい。

心臓リハビリテーション指導士の取得は一つのスタートに過ぎず、これを取ったからといって心リハのエキスパートとは言えませんが、網羅的に勉強すると色々な物の見え方が変わってくると思います。

ではでは。