心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリで3000人以上の患者さんと関わったわたしが日々考えたり感じたことを綴っています。

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わたしが緩和ケアをe-Learningで学ぶまでの話

こんにちは、心リハ太郎です。

心不全のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)について勉強しようと思い、去年(2018年)から今年にかけ、関連する講習会や学会のセッションに参加しました。

そこで何度も出てくる緩和ケアという言葉。

緩和ケアは終末期医療とイコールではなく、患者さんの様々な苦しみをいかに和らげるかという全人的な視点に立った概念で、リハビリテーションとも親和性の高い考え方だなと感じます(異論はあると思います)。

思い返せばその頃のわたしは、心不全の終末期に患者さんのQOLをできる限り維持し、あわよくば改善するために何ができるのかについて苦悩していました。

初めて会ってから10年近く経過した患者さん達が、心不全増悪入院を繰り返すようになり、またフレイルあるいは要介護状態になっていき、動作能力が低下して社会参加も縮小し、心不全や死への受容ができないまま、次々とこの世を去っていくのです。

終末期に何かを始めても時すでに遅しではないかと、以前から薄々気付いていた現実にわたしは直面していたのです。

感じるのは無力感。

自分の、そして心リハチームとしての患者さんたちへの関わり方、働き方は本当にこれでよかったのか、このままでいいのか、と感じる日々でした。

そんな折、心リハチームの看護師さんから、下記のリンクにあるACPのパンフレットを見せてもらいました。

ACP?

アドバンス ・ケア・プランニング?

アドバンス・ケア・プランニングという考え方に、まさしくその通り!と膝を打つ思いでした。

リーフレット「終末期医療アドバンス・ケア・プランニング(ACP)から考える」が完成 | 日医on-line

ACPについて調べていると、このような資料にもたどり着きました。
非常にまとまっていて勉強になりました。

アドバンス ・ケア・プランニング
いのちの終わりについて話し合いを始める
https://ganjoho.jp/data/med_pro/consultation/forum/h28/shutoken_20161112_kiroku01.pdf


終末期に突入した、あるいはこれから終末期に向かうだろう心不全患者さんが、少しでも残された人生を幸せに生きられるために何ができるのか。

リハビリテーションとはそこまで考えて行うべきものではないのか。

患者さんが何を望み、何を望まないのか、そしてどう生きたいのか。

これを知らずして、なぜリハビリテーションの目標設定ができると思うのか。

こんなことを日々考えていたわたしにとって、ACPというのは「これしかない!」と思えるものだったのです。

しかし、ACPについて学べば学ぶほど、導入を考えれば考えるほど、みんなACPなんて必要ないと思ってるんじゃないか、という気持ちに変わってきました。

心不全が死を見据えるべき疾患であることを理解しない、あるいは話そうとしない主治医。

自分が死ぬということを考えたくない、見つめたくない患者さん。

今がよくなればそれでいいし、主治医の意向に従うだけだと考えている周囲の医療スタッフ。


ACPを行うには何をどうすればいいのか、病院の中でどのように動けばよいのかがさっぱりわからず悩み、日々孤独感が増していきます。

何人かの心不全緩和ケアを経験し、施設内の緩和ケアチームの方々と話ができるようになった今となっては、そんな人ばかりでないということは理解できます。

が、その頃のわたしはパンフレットを紹介してくれた看護師さんくらいしか仲間もおらず、五里霧中の気分だったのです。


ACPを具体的にどう行えばよいのかを誰かに教えて欲しい。

その思いの針が振り切れて、講習会や学会に参加することを決意しました。

この気持ちを分かってくれる人、同じ思いを共有できる人を探したい、そういう人達の考えや思いを聞きたい。

講習会や学会に参加したのは、そんな孤独感から来る気持ちも大きかったのかもしれません。


ACP!ACP!どうやったらできるんだ、ACP!

そんなACPに対する一途な(偏執的な?)気持ちを持っていたためか、わたしの目には「緩和ケア」という言葉が写っても目に入ってこなかった気がします。

ACPについて調べていて、緩和ケアという言葉に触れていないはずはないんですけどね・・・。


そのころのわたしはまだ一般的な誤解の通り、

緩和ケア=終末期

と思っていて、終末期に入る前にこそやらなければいけないことがたくさんあるはずだという考えから、緩和ケアという本来の意味に着目していなかったのだと思われます。

また、心不全とガンでは考え方や行い方が違うだろうという思い込みもあり、しっかりと目を向けなかった部分もあるかもしれません。

あとは、緩和ケアというものを体系的に学習する方法がよく分からなかったというのもあります。


そんな時、わたしの施設に心不全の緩和ケアについての講演会が開かれました。
講師は大石醍悟先生でした。

子どもの送り迎えや世話があり、残念ながらこの講演会には参加できなかったのですが、しばらくして理学療法協会主催の神戸で行われる緩和リハビリテーションカンファレンスのプログラムに大石先生の名前を見つけました。
(リンク先で抄録集も閲覧可能です。)
第1回緩和理学療法カンファレンス - 日本がん・リンパ浮腫理学療法学会

この機会を逃したら次はいつ話が聞けるかわからない!

この「終末期リハビリと異なる心不全の緩和リハビリを識る」という教育講演を聴き、あわよくば講師の大石先生にACPについて質問してみたいというそれだけのために、上司に交渉して神戸までの出張許可を勝ち取ったのでした。

そして当日。
初めて触れる緩和リハビリテーションの世界。

新しいことを学ぶのが好きなわたしは、ワクワクしながら席につきます。

そこで初めに行われた前田一石先生の「緩和ケアとリハビリテーション:手を携えて歩く未来」という講演にて、わたしは心揺さぶられる体験をすることになります。

それまでも緩和ケアという言葉は知ってはいたし、概念も少しは理解していたと思っていました。

しかしこの講演で緩和ケアという概念の深淵に初めて触れたのでした。

そして講演の最後に出てきたアンパンマン。
わたし同様に「え、なに?」と思った参加者も多かったのではないかと思います。

アンパンマンミュージアム10周年企画として制作された映画『いのちの星のドーリィ』が紹介され、そのテーマの深さに、講演中まさかのマジ泣き。

前田先生による、やなせたかし先生が描く世界に通底する「人はなぜ生まれ、そして何のために生きるのか」という考えが緩和ケアには非常に大事だというメッセージを思いだすと、当日参加した方は今でも瞳が潤んでしまうのではないかと思います。

ここで初めてわたしの頭の中で「緩和ケア」というものが意味を持ち、根を下ろしはじめたのでした。

その後、緩和リハビリテーションを実際に行なっている方々の演題でがん理学療法の実際に触れさせていただきました。

そして最後に楽しみにしていた大石先生の教育講演を聴き、その後大石先生と少しお話しさせてもらう中で、
・ACPはやはり主治医の理解が必要
・ACPをします!という形式よりも日々のやりとりの中でACPに繋がる患者さんの思いや考えをカルテに残していくのがよいのではないか
・ACPや心不全についてはガンのような周知が進んでいないため、メディアなどを用いた啓蒙活動が先かもしれない
というコメントをいただきました。


こうして、ようやくわたしは
・まずは緩和ケアについてしっかりと学び概念や方法を理解する必要があること
・ACPとはプロセスであり、「ACPします!」「やりましょう!」みたいな短期間に行うものではないこと
を理解し始めたのです。

その後、ツイッターを通じて色々な方々の講義や意見にも触れ、ここで初めて
「あー、ACPというのは緩和ケアという考え方があって初めて大きな意味が出てくるんだな」
と直感的ながら感じたのでした。


と、そんなこんなで、緩和ケアとは何か、どのような理念に基づき、どのように実践されているのかということを学ぶのは重要そうだぞ、と思うに至ったわけです。

そこで緩和ケアについて体系的に勉強できないものか、とググりました。

インターネット上で見つかったのはこちら。

がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会 e-learning PEACE

https://peace.study.jp/pcontents/top/1/index.html

厚生労働省が主体となって運営されているサイトです。

e-Learningとか書いてあるけど、有料だったり何か参加資格がいるのかなと調べてみたら何と無料です。



無料ならやらない選択肢もあるめえ、ととりあえず登録したのが、2019年の3月でした。

一つ目の講義を受講したものの、多忙を理由に忘れ去ってそのまま月日は流れ・・・。

そして5ヶ月後の本日ようやく受講し終わったというわけです。

長かった・・・(←単にサボっていただけ)



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