こんにちは、心リハ太郎です。
人工知能(AI)は機械学習とディープラーニングという技術を取り入れてから目覚ましい発展を遂げています。
人間を超えたAI
昨年はAlphaGo というGoogleの開発した囲碁プログラムが世界のトッププロであるイ・セドルを打ち負かし大きなニュースになりましたが、今年に入ってさらなる進化を遂げ、ネット囲碁の世界で、日本最強の井山裕太6冠を含む日中韓の強豪を相手に60連勝を果たしました。
アルファ碁が神の領域に。AI進化速度は予測を超える | 三谷流構造的やわらか発想法 | ダイヤモンド・オンライン
囲碁の世界ではコンピュータがトッププロに勝つにはあと十数年はかかると言われていました。しかしGoogleが開発に乗り出してから数年であっという間にトッププロに追いつき、追い越したわけです。
また将棋の世界でも既にトッププロ相手に互角以上に戦うポナンザというプログラムが出てきています。
ポナンザの開発者が興味深い連載をしていますのでご紹介します。
「人工知能の性能が上がった理由」を説明できない|人工知能はどのようにして「名人」を超えるのか?|山本一成|cakes(ケイクス)
理由がわからないのに強くなる。人工知能という現代科学の最前線で、なぜそんなことが起きているのか。これからはその説明をしていきましょう。
突然ですが、皆さんは「黒魔術」という言葉をご存知でしょうか。おとぎ話やファンタジーの世界で、魔女が不思議な薬を作るときに使われるような魔法のことです。ぐつぐつと煮えたつ大鍋の前に立ち、意味不明な呪文とともに材料を投げ入れると、煙とともに目的の妙薬ができる……そんなシーンをアニメ作品で観たことがある人も多いと思います。
驚かれるかもしれませんが、この「黒魔術」は機械学習の世界でもスラングとして定着しており、どうやって生まれたのか、あるいはなぜ効果が出るのかわからない技術の総称となっているのです。
当然ながら、人工知能を研究する学問分野である情報科学は、もともと論理や数学が支配する世界でした。理由や理屈がすべてを説明できる世界だったということですね。しかし、現代の情報科学では(とりわけ人工知能の分野では)、だんだんと黒魔術の影響力が強くなってきています。
人間には黒魔術のごとく理解できないけれど、ある分野ではAIが人間以上の判断ができるようになっている訳です。
医療界にもAIがやってくるはず
こう考えれば、医療の世界でもあと数年の間に医師や理学療法士などの人間の判断よりも正確でミスの少ない判断をコンピュータが行う時代が到来するはずです。また医学研究の分野でも同様のことが起こってくるはずと思います。
実際にIBMのWatsonというプログラム(これは正確にはAIではないですが)が、医師が診断できなかった特殊な白血病を見抜き、患者の命を救った事例も国内で出てきています。
IBMのWatson、わずか10分で難症例患者の正しい病名を見抜く。医師に治療法を指南 - Engadget 日本版
恐らく現在のプロフェッショナルは認めたくはないでしょうが、既にあまりに複雑になり過ぎた医療の世界では、正確な診断をするための知識を一人の人間が扱う限界が来ているものと思われます。
自らの専門分野であっても全ての医学的知見を網羅するのは不可能と思えますし、それが他領域にまたがる場合は既に神の領域ともいえるのではないでしょうか。
人体というシステムはそれほどまでに複雑であり、学習や記憶に時間的・物理的制約を持つ人間では本質的には太刀打ちできない領域があるのだと思います。
患者さんにとっての幸せの一つは正確な診断に基づく正しい治療を受けられることである、と考えると、知的生命体である人間としてのプライドを捨て、より患者さんのためになる医療の形を選ばざるを得ない時期が、皆が考えるよりもすぐそこにあるような気がしてなりません。
その時に我々がどのような働き方をすることになるのか。今からそれを考えておくのは重要だと思います。
コンピュータに対する一つのアドバンテージは、我々が生身の肉体を持っていること、もう一つは他者に共感する能力を持っていること、この辺りが鍵になると考えています。
上記の記事の著者である山本さんの本です。非常に面白く分かりやすい内容になっています。
現在の人工知能の状況についてざっと知りたい場合は様々な項目を網羅しているこの本がオススメです。