心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションを10年以上している心リハ太郎が日々考えたり思ったりしているエビデンスのあることないことをつらつらと書いています。

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病院などの医療機関の組織改革はどのように行えばよいのか

こんにちは、心リハ太郎です。

組織を作り変えるというのは非常に大変なことですが、どうすればよりよい組織を作ることができるかについて、若いうちから考えておくのはよいことだと思います。

病院などの医療関係の組織も古い体質であることが多く、なかなか変えづらいと感じている方もいるのではないでしょうか?

ダイヤモンド・オンラインに組織の変え方、組織を変えられる人間になる方法について非常に参考になる記事を読んだので、引用してご紹介します。

インタビューを受けている森岡さんは、USJの組織改革に取り組み、業績をV字回復させた方です。
USJ再建の森岡毅が語る、出世する人が必ず持っているスキルとは | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

組織の目的を明確にすることから始まる

組織をどう変えたらよいのか?

インタビューに答える森岡さんは、この問いには明確な答えはないとおっしゃっています。

その組織が達成したい目的を明確にすることがまず重要です。そしてその目的に対して、達成確率が高い組織を作ることです。実はどこでも通用する「完璧な組織」というものは存在しません。サッカーで言うなら「攻めを重視するのか、守りを重視するのか」のように戦略を考え、目的達成に最も適した組織に作り変えます。強みをどこに作り、わかったうえでどこに弱みを作るのかという選択ですね。現場力が強い会社は戦略が弱い、逆に戦略が強い会社は戦術が弱いということはよくあります。弱点というのはたいがい強みの裏側にあるものです。

自分の属する組織は何を目的にするべきか?

この問いに「明確な答え」を出すことが、まずはじめにするべきこと、というわけです。


例えば医療機関なら

  1. 高度な医療を遂行できる
  2. 総合的な医療を提供する
  3. 患者さんのQOLを重視する

などの目標が考えられます。

1の高度な医療を遂行できる病院にするという目標の場合、一部の医師だけが高度な医療について知識を持っているだけでは不十分です。

看護師や薬剤師、検査技師や理学療法士・作業療法士、管理栄養士など多職種が、特定の病気やその治療に関する専門的な知識と経験を持つような組織を作り上げる必要があります。

そのためには、高度な知識と技術を持つ人材の確保と育成が重要ということになります。

すると、継続的に高度医療についての知識を得られるような教育体制を構築し、また必要に応じて他の医療機関から人材を引き抜き、また人材が流出しないような居心地のいい組織を作る、というようなアクションを起こしていくことになるでしょう。

そして組織のメンバーに、組織として高度な医療を遂行する、という共通の目的と自負を植え付けることが必須でしょう。


このように、目的が決まれば、するべきことが決まるはずです。

持続可能な組織を作る

また組織の中で、一部の誰かだけが、目的を達成するために組織を変革し、それを維持するために頑張り続けるというのは、その誰かがいなくなった時点で終わってしまいます。

つまり、目的達成のための組織改革の重点は、組織自体に持続可能性を持たせるよう組織を変えていく、ということになります。

私はUSJに入ったときも、すぐに組織改革に取り組みました。いくらマーケティングだけががんばって戦略を練っても、それが全ての現場に届かなければ機能しないと思ったからです。もともと私はプロマーケターとして雇われたので、遠くない将来にいなくなることはわかっていた。だから私がいなくなっても動き続ける持続可能な組織にしなければ意味がないとも思っていました。マーケティング部だけがよくても、マーケティングができる組織にはならないのです。なぜならマーケティング部が作った戦略を実行するのはマーケティング部だけではないからです。開発部も営業部も実行しなければならない。

記事では、組織自体を個人の力ではなく、それを集積して集団としての力が発揮できるように変えることの重要性が説かれています。

そのために目的達成のための戦略を考える人間が必要だと森岡さんは述べています。

これは完成形が見えていないとできないことです。どう変えていけばいいのかがわからないからです。目的を達成するための戦略を考える人間がいないとできないのです。実はこの「戦略人事」ができる人事部というのは日本にはほとんどありません。だからなかなか日本の会社は変われないのです。多くの会社の人事担当者は、内部でキャリアを積んできているので組織改革をした経験がない。経験が積みにくい構造なのです。

たしかに、内部でキャリアを積んできた人間は、組織に慣れてしまっているため、組織を変革する視点が持ちにくいはずです。

しかし、そのように内部でキャリアを積んできた人間が尊重され出世していく傾向が日本の組織には多く見られるため、組織改革を行うことが不得手で、保身に走りやすいのかもしれません。

組織構築スキルをつけよう

この組織改革に必要なスキルが「組織構築スキル」であると森岡さんは続けます。

組織構築スキルとは

それぞれの人が持っている能力の長所、短所を上手く組み合わせて、強い組織を作る力です。「名選手、名監督にあらず」と言います。リーダーは名選手である必要はないのです。一人でできることはたかが知れています。多くの人に正しいことをやらせることのできるリーダーの方が圧倒的に強いのです。

と述べられています。

自分一人の力はたかが知れていることを意識し、みんなの力で組織の目的を達成させるように動ける人が、組織構築スキルを持った人なのです。

組織のリーダーになろうとするとき、組織をどう作るかという問題は避けられないものです。組織をどう構築するか、組織をどう運用するか、どう人を雇うか、どう人をトレーニングするか。そのスキルに秀でない限り、組織の中では上がっていけないのです。部下を持っている人はもちろん、これから部下を持ちたいと思っている人も、そのスキルを磨くべきです。

組織構築スキルとは、どうやって人を成長させ、生かしていくか、というスキルです。


そのスキルを身に付けるのに最も大事なのは
「人間の本質が自己保存である」
であることを理解することだと森岡さんは言います。

たとえば発言するのは上司だけで、部下はメモを取るだけの無駄な会議というものがあります。部下は下手なことを言って上司の機嫌を損ねるよりも、黙っていた方が得だと思っているのです。人間は自分の身をリスクにさらすことを恐れる本能があるのです。ここを理解しておくことが大事です。

 活発に意見の出る会議にしたいなら、「みんな、発言しよう」と精神論に訴えるのではなく、発言しなければ自己保存できないルールに変えればいい。意見を言って貢献した人は評価して、意見を言わない人は評価を下げるという厳格なルールを作って運用すればいいのです。自己保存の本能を逆手にとって、「発言しないほうが安全」から「発言したほうが安全」にルールを変えていくのです。

人がどう動くかは、組織の(暗黙の)ルールによって実は決まっていることが多いということです。

風通しの良い組織にすることは大事で、そのためにルールを明確にしておくのが重要なのかもしれません。


また人を動かすにはその人がローリスクだと思えるよう提案をしていくのがコツだということです。

誰も成功したくない人はいないのです。みんな自分の強みを生かして大きなプロジェクトに参加したい。ただしそれは「リスクの低いこと」が条件になります。人を動かしたいならば、自分の提案を相手にとってローリスク・ハイリターンになるようポジショニングすべきです。


そして、組織のメンバーそれぞれの強みと弱みを把握し、最大限の効果を出すような人員配置や教育をしていくことこそ、組織構築スキル獲得の重要課題なのです。

ごますりの上手い人とか、世渡りに長けた人しか出世できないと思われがちですが、そんなことよりはるかに重要なことがあります。それぞれの人の強みと弱みを上手く組み合わせて、ボトルネックを消し、最大限の成果があげられる人。構成員のボトルネックを理解し、強みのテトリスでそれを消すことができる名人が出世するのです。そういう人はどんどん出世する。組織を強くすることができるわけですから、会社にとってなくてはならない人になるのです。

自分のことばかりでなく、周りを見渡して、それぞれの長所・短所を把握する練習は若いうちからでもできます。

今の組織の中で、その人をどう生かすのか、誰を組み合わせるといいのか、なんてことをシミュレーションしてみるとよいのかもしれませんね。

今回の記事の内容については記事内でも紹介されているこちらの本に詳しく書かれています。

下の立場から組織を変えるにはどうしたらよいかが示されているとても面白い本で、非常におススメです。

私もKindle版を早速買ってしまいました。

皆さんも、自分の組織の目的は何か、そのために下の立場から組織をどう変えていくかということを是非考えてみてください。

ではでは。