こんにちは、心リハ太郎です。
日経ビジネスオンラインに面白い記事がありましたので紹介します。
脳の老化も予防、極論を知る意味とは?:日経ビジネスオンライン
筆者の和田さんは、極論を考慮に入れることで、自分の考え方の幅を拡げ、様々な可能性を受け容れる素地を作ることが重要と述べています。
私が、このような「それもあり」「そうかもしれない」思考と呼んでいる考え方を勧めるのは、精神科医の立場からみて、そのほうがメンタルヘルスに良いとされているからだ。
現在の精神医学の考え方では、「かくあるべし思考」とか、「この道しかない」と思うことが最も心に悪いとされている。
「そうでなくてもいいじゃないか」と思えることが心の余裕につながり、鬱の予防になったり、鬱になったときに悪化を防げるということだ。
また前頭葉機能の維持・活性化にも極論に触れることは有意義であるのではないか、と述べられています。
私の長年の高齢者医療や、何千枚もの脳の画像(MRI検査やCTスキャン)を見てきた経験から言えることは、人間の脳というのは前頭葉から縮み始めるということだ。
前頭葉の機能が低下すると意欲が衰えるため、頭や体を使わないようになり、それが脳や体の老化を進めてしまう。また感情のコントロールも悪くなるため、キレやすくなったり、落ち込みが止まらず、鬱になりやすくなったりするために、社会的・対人的な不適応にもつながる。
前頭葉が活性化されるのは、想定外なことに出会った時とされる。ルーティンワークをやっている際は、例えば、読書や会話では側頭葉という脳の部分が用いられ、計算や設計では頭頂葉という場所が使われる。前頭葉というのは、クリエイティブなことを行う際や、これまでやったことのないもの、見たことのないものに出会った際の対応に用いられると考えられている。
ということは、前頭葉を使うためには、ありきたりの話に触れる、仲間内の相手が言うことがおおむね予想できる会話ではダメで、普段読んだことのない意見や知識が書いてあるような本を読むとか、異業種のビジネスパーソンとの交流を深めるなど、普段とは違う会話ができる場に出向くことが必要となる。
また強い刺激ほど前頭葉は反応するとも言われている。極論や暴論はさすがにその信者になってしまうと不適応は多いが、それに触れることは脳の老化予防になると言っても過言ではないだろう。
私個人としても、否定しきれないあらゆる可能性を考慮に入れることは、心臓リハビリテーションに応用可能という立場です。
臨床場面においては、初めから結論ありきの思考は、見つけるべきものを見つけられず、有益な診断・介入方法の機を逸することが多いです。
人間の身体や心、経験などは千差万別であり、何が潜んでいるかわからないと考えていた方が、想定外の事態にも対処可能になります。
そのためには、必要ないのではないかと思えるような知識、知見、経験に触れておくことが重要ですし、それが出来なければ、今後コンピュータに仕事を奪われるのみでしょう。
以前の記事でも述べたように、心臓リハビリテーションでは病気の治療のみに留まらず、患者さんを一人の人間としてあらゆる角度から考えることが重要です。
思考停止に陥らず、広く視野を持ち続けることの重要性を感じていただければ幸いです。
ではでは。