心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションを10年以上している心リハ太郎が日々考えたり思ったりしているエビデンスのあることないことをつらつらと書いています。

スポンサーリンク

電子カルテからAIが予後を予測する時代がやってくる

こんにちは、心リハ太郎です。

Googleが電子カルテから患者の予後を予測する技術を開発しつつあるようです。

Googleが病院を訪れた患者の身に「次に何が起こるか?」を予測する技術を開発 - GIGAZINE

Googleのモデルが「特定の結果が予測される人」と「そうでない人」を見分けることができるか、という正確性の測定には「受信者操作特性(ROC)」という基準が使用されました。ROCでは1.00が「完璧」、0.5が「偶然」とされるところ、「患者が長期にわたって入院するか」に対するGoogleのモデルが行った予測の正確性は「0.86」でした。これは、従来の手法の「0.76」という値を上回るもの。また、患者の死の予測の正確性は「0.95」であり、従来の手法の「0.86」という値を上回ったこと、再入院の予測の正確性は「0.77」で従来の手法の「0.7」という正確性を上回ったことから、かなり高い正確性で「次に患者の身に何が起こるのか」を予測できているといえます。

死亡に関する予測がROCで0.95というのはほぼ当たると言っても過言ではない数値です。

人間の予測には雑念や予断が入り、また全てのデータを読む時間的な余裕がないことも多いため、当てにならないことも多々あります。

一方、コンピュータは疲れも知らず、膨大なデータを統合することができますので、こういう作業ではおそらく人間は敵わなくなる時がすぐそこまで来ているようにも思います。

個人的には、診断や予後予測は、能力も人それぞれで体調や状況に左右されやすい人間よりも、AIに任せる方が、精度は明らかによく、患者さんにもメリットが大きいと思いますので、こういった仕組みが早く実装されないものかと楽しみにしています。

そうなると医療における人間の役目は、現在とは大きく変わるはずです。


特に、心不全は発症から数年以内に亡くなるケースも多いですが、まだまだガンのように死を意識した告知はされていないのが現状です。

なぜなら心不全は増悪と治療による寛解を繰り返すため、医師にもその患者さんがどういう転機を辿るのかが読み解けないケースが多いからと思われます。

そのため、いつからが終末期なのかを医療者側もまだ十分定義しきれておらず、患者さんやその家族が死への精神的・物理的準備が整わないままに、亡くなっていってしまうケースも多いです。

「この患者さんが1年後に亡くなっていたら驚くか?驚かないか?」というサプライズクエスチョンも1つの方法として提示されていますが、それも医療者の経験が物を言う部分が大きいでしょう。

今回ご紹介した記事のAI技術は、心不全の終末期かどうかの判断をAIが担いうる可能性が高く、しかも誰でも同じ精度で使えるという非常に優れたものになりえます。

こういった優れたツールを使いながらより良い医療を提供できる時代が早く来るとよいなと考えています。

ではでは。