心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションを10年以上している心リハ太郎が日々考えたり思ったりしているエビデンスのあることないことをつらつらと書いています。

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「割り切り」とは強さではなく弱さである

こんにちは、心リハ太郎です。
ダイヤモンドオンラインの記事で、我々医療職の人間にとっても非常に大事な話が載っていましたので引用・紹介します。

記事はリーダー論について書かれていますが、以下に引用する部分はリーダーでなくても、医療職なら必ず思い当たる節があるはずです。

なぜなら基本的には、我々が直面する事態は正解のない場合がほとんどだからです。

では記事を見てみましょう。

 その「答えの無い問い」を前に、ときに、我々リーダーは、自らの「弱さ」に流される。

 それは、「割り切り」という弱さである。

 例えば、「会社が不況なのだから、犠牲がでるのはやむを得ない」「人事異動は、サラリーマンの宿命なのだからしようがない」などの「割り切り」である。

 かつて文芸評論家の亀井勝一郎が、「割り切りとは、魂の弱さである」との言葉を残している。たしかに、この言葉のごとく、我々は、「答えの無い問い」に直面すると、その問いを問い続けることの苦しさから逃れるため、しばしば無意識に、この「割り切り」に逃げ込み、精神を楽にしようとしてしまう。

 しかし、そうして精神が楽になった瞬間に、我々の精神の成長は止まる。なぜなら、マネジメントとは、企業利益と社会貢献、短期戦略と長期戦略、企業の合理化と社員の働き甲斐といった、ともすれば矛盾する問題のマネジメントだからである。そして、人間の精神とは、その矛盾と格闘することによって、鍛えられ、深まり、成長していくものだからである。

 したがって、その矛盾を「割り切り」によって解消してしまったとき、我々の精神は成長を止め、マネジメントは生命力を失ってしまう。

「意思決定をする」ということは、決して「割り切る」ということではない。その「矛盾」を心に把持したまま、最後は自らの直観を信じて「腹決めする」ということである。

 もし、我々リーダーが、この「答えの無い問い」を前に、「割り切り」によって逃げることなく、意思決定の後もなお、その問いを心の中で問い続けるならば、我々の精神は、ある深みへと向かっていく。

 そして、そのことに気がつくとき、リーダーにとっての意思決定や決断という役割が、我々の精神を、鍛え、深め、限りなく成長させてくれる素晴らしい役割であることを知るだろう。

記事のリーダーを医療者に読み替えると、非常に心に突き刺さる話になるはすです。

「この患者さんはああだったから仕方ない」とか「この状況はどうすることもできなかったはずだ」などの「割り切り」を、無意識のうちにあなたは行なっていないでしょうか?

答えのない問いに対して、「矛盾」を抱えながらも「割り切り」に逃げず、なんとか最適な解を模索することが医療職としての成長、ひいては人間的な成長に繋がるだろうということを、常に頭の片隅に留めておきたいものですね。

ご紹介した記事の田坂さんは『知性を磨く』の中で「答えのない問い」に対して「割り切り」せずにどう立ち向かうかなどについて書いています。
ご興味のある方はご一読されることをお勧めします。お得なkindle版もあります。

記事の著者が意思決定について書いたのがこちら。kindle版もあります。

ではでは。