心臓リハビリテーションのまにまに

心臓リハビリテーションについて考えたり思ったりしていることをつらつらと書いています。

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『不安な個人、立ちすくむ国家』についての所感

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こんにちは、心リハ太郎です。

 

経済産業省の若手官僚が現在の日本社会における課題を指摘した全65ページのスライドが公開されて反響を呼んでいるようです。

http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf

 

およそお役所らしくない、挑戦的な文言の並ぶ資料で非常に面白いので、未読の方は是非目を通してみて下さい。

こういう問題意識を持って活動している若手官僚がいることは頼もしい限りです。

 

この資料には結構衝撃的なページがてんこ盛りなんですが、個人的にはこのページがやばいと思いました。

男性の退職前後の1日の過ごし方の割合を比較したグラフです。

 

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(出典)2011年 総務省「社会生活基本調査」より

TVを観て過ごしている時間が薄い水色、休養している時間が濃い水色で示されていますが、退職後はとんでもないことになっています。

あんたらテレビ観てるかゴロゴロしてるかしかしてないんかい!って感じです。

 

これが皆さんが相手にしている高齢者の活動実態だとするとどうですか?

やばくないですか?

絶対に廃用が進むし、動脈硬化も進むし、どうすんの?という状態ですよね。

 

こうやって過ごした結果、体力や足腰の弱った状態で、しかも血管を詰まらせて心筋梗塞もしくは高血圧からの心不全といった感じで入院してあなたの前に現れたのが心臓リハビリテーションを受けている患者さんなわけです。

(アテロームやラクナの脳梗塞患者さんなんかも動脈硬化性疾患なので同じですよ。)

 

しかもどれだけ安静の害を説明したとしても、心臓病になったという理由で退院後に過度安静をとる患者さんは必ず一定割合で出現します。

そしてまたグラフ中の水色のような過ごし方をして、さらなる廃用や動脈硬化の進展を助長するものと思われます。

 

このスライド資料では、全ての高齢者を弱者として扱うことに疑問を投げかけており、個人的には賛成ですし、心疾患患者さんも同じ人間ですから同様に考えればよいと思います。

非常にADLが低下してほぼ寝たきりの方や、あるいは非常に心機能が悪く入退院を繰り返す方は除き、そうでない心疾患患者さんにもこのような前を向いた考え方を当てはめていける社会を構築していけるとよいのではないかと思います。

 

高齢者の社会参加を増やし、社会的役割をどう作っていくかは、現在および今後の日本社会重要な課題ですが、現実問題として、我々医療関係者ができることは今我々の目の前にいる方々にどう関わるかを考えていくことではないでしょうか?

 

わざわざ社会参加を少なくするような、ADLを低下させるような脅しの言葉ばかりでなく、心臓病になったとしても社会に復帰し、自分の役割を再び獲得していこうと思えるような、リハビリテーション本来の目的である全人的復権に繋がるような励ましの言葉をかけていきたいものです。

下記の記事ではリハビリテーションとは本来どういうものなのかについてお話ししていますのでよろしければそちらもご覧ください。

【参考記事】

http://cardiacrehablog.hatenablog.jp/entry/2017/03/09/232521

 

 

 

ではでは。