心臓リハビリテーションのまにまに

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研究発表について(その2)

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前回は、初めての研究では何が何だか分からず崩壊することが多いので、せっかく研究発表をするなら何かを得られるようにしてみましょうという内容でした。

学会などの研究発表で一番大事なこととは何かについて、以前こんなことを書きました。

研究発表とは本質的にはコミュニケーションであるという話でした。

コミュニケーションであるということは、相手がいるということです。これ、すごく大事なことです。

話の目的をはっきりさせよう

研究ではなくとも、誰かに何かを伝えたい場合、うまく理解してもらうために必要なことは自分の話の目的をはっきりさせることです。

目的がはっきりしていない話は中身がグズグズになり、何も伝わりません。

おしゃべりを楽しむ場合は目的をはっきりさせる必要はないのですが、何かを伝えたい場合は別です。

研究でも同じで、研究の目的が自分の中ではっきり分かっていないと、前回の話のようにグズグズの抄録やポスターやスライドがほぼ100%の確率で出来上がります

もし、あなたが他人に自分の研究の目的を一言で説明できない場合、自分自身が何をやっているかわからずにいることがほとんどです。

何を話したいのか説明できない人の話は、どれだけ聞いても結局何も分かりませんし、その人とどれだけ話をしても有益な情報は得られません。

なぜなら、その人の中に話の核になるものが存在しないからです。

研究ではミステリーツアーはダメ

一言で目的を説明できない研究は旅行に例えれば目的地も決めずにぶらり旅をしてるようなもんです。

今日は大阪、明日は四国、明後日は気の向くままに行こう、ってのはひとり旅の場合は楽しいかもしれませんが、もし同行者がいたら、「いい加減にしてよ!どこに行くつもりなんだよ!」って愛想を尽かされかねません

他人と旅をする場合、よほどの気の合う相手かわざわざミステリーツアーを選ぶのでもなければ目的地を決めて出発するのが普通でしょう。

研究発表でも目的地のわからない発表を聞かされるのは聞かされるほうにとってたまったもんじゃありません。

なので、まずは「どこに行く旅なのか?」、つまり「何を調べたい研究なのか?」をはっきりさせて下さい。

また、同じ北海道に行くのでも、美味しいものを食べに行くのと観光地巡りをするのでは違いますよね。

本場のジンギスカンを食べに行くツアーと札幌時計台やラベンダーを見に行くツアーでは恐らく参加者も変わります。

なので、どこにいくかの前に「この旅へ参加するとどんないいことがあるのか?」、つまり「この研究をする意義は何なのか?」をはっきりさせておく必要があります。

研究背景を固めよう

「この研究をする意義は何なのか?」というのを研究背景といいます。英語だとreserch backgroundです。単なるbackgroundということもあります。

研究背景の3つの大事な要素

研究背景の大事な要素は次の3つです。

  1. これから調べようとする分野ではどのようなことが分かっているか(既知の事項)
  2. そしてどのようなことが分かっていないか(未知の事項)
  3. 分かっていないことで何が重要なのか(研究の重要性)

1の既知の事項では、その研究分野の先駆者の道のりを示します。そして2,3で未知の事項の中で「この研究テーマを選び(わざわざ)検討する意義は何なのか?」ということを示します。

魅力的な研究にするために先行研究を調べる

「わざわざ」と書いた理由は、研究とは本当に手間と時間がかかることだからです。

手間をかけてデータを集め、手間をかけて解析して、手間をかけて発表し、発表を見る人にも貴重な時間を使わせるわけです。

ですので研究背景では、なぜ手間と時間をかけてまでこの研究をするのかを他人に納得させた上でちょっと見てみようかな?という気にさせる魅力がなければなりません。

魅力を高める理由として「私が大事だと思うからです!」というのでは他人は納得してくれないので、基本的には過去の研究を調べてそれを読み、まとめていく必要があります。

ここがきっちり分かりやすくまとまっている研究が魅力的な研究ということになります。

先行研究を読むことは回り回って自分の得になる

初めて研究する場合、多くの人は自分もその分野の素人であることが多いので、先行研究を読んで勉強するうちに、自分の知らなかった知見を得て、何が重要なのかを理解していくことになります。

すると自然に研究の目的が固まっていきます。

この先行研究から学ぶことで、当初考えていた研究の方向性が180度変わることもあります。何故なら先行研究を知らずに研究テーマを決める人の大半は自分の思い込みだけでテーマ設定をしているからです。

先行研究を読み込むことは、この自分勝手な思い込みを正し、また他人にも自分の勝手な思いだけでこのテーマを選んだ訳ではない(客観的な判断である)ことを分かってもらうために大変重要です。

そして何よりも、この作業をしっかり行うと日々の臨床に過去の研究知見が活かせるようになり、臨床家としてもレベルアップします

研究背景の説明は必要最小限に

ただ研究背景を他人に説明する際には自分の研究目的に繋がる研究だけを要点をまとめて示すことを心掛けましょう。

色々な論文を読んだことをアピールするためについつい必要以上にあれもこれもと研究を羅列する人がいますが、時間や紙面の無駄なので必要最小限にまとめましょう

ダラダラとした説明は研究の魅力を落とすだけです。

まずはじめにすることは自分への問いかけと他人への相談

まずは研究を始める前に、自分に問いかけてみて下さい。

何を調べたい研究なのか?(どこに行く旅なんだ?)」

何の意義があってこの研究をするのか?(どんないいことがあるんだ?)」と。

この2つの質問に1文で短く明確に答えられたときには、あなたの研究の目的が自分でも理解できているはずだと思います。

ここに時間をかけると実は後が非常に楽になります。

また自分がしていることを客観的に見られる人は少ないので、この時点で誰かに相談してみるというのも効果的です。

他人から客観的視点で見てもらうことで何かの突破口が開けることはよくありますし、また他人に話しているうちに自分が何をしたかったのかが急に理解できることもあります。

 

今回は研究背景を固めることの重要性とその方法をお伝えしました。

次回は具体的な例をもとに研究目的を明確にするプロセスをお伝えする予定です。